人工透析とは…

※血液透析の目的 
 腎臓の機能がほとんどがなくなった「腎不全」「急性腎障害」などの腎臓疾患になった人が、働くなった腎臓の代わりに行う治療です。腎臓の機能を回復させる治療ではありません。

※透析の基本
 血液透析は週3回、1回4~5時間行われることが基本となっています。

※血液透析の仕組み
 仕組みの基本は「拡散」と「ろ過」で、慢性腎臓病のステージ5D(末期腎不全)になった時に行う腎代替療法には、腎臓移植の他に透析療法があります。透析療法には血液透析(HD)、血液濾過透析(HDF)、血液透析濾過(O-HDF)、腹膜透析(PD)に分類されます。 上記の透析方法は、腎臓の主な機能の「老廃物の除去」「水分調節」を行い、その仕組みには「浸透圧格差」を使用していて物理的な機序が生かされています。血液中の老廃物は「拡散」によって透析液に移動します。拡散は透析の基本となる物理的な現象で、溶質濃度の違う2種類の液体が、ダイアライザーの半透膜(透析膜)で目に見えない小さい穴の開いた膜を境にして接すると、濃度の高いものは薄い方へ、薄いものは高い方へ移動します。透析は濃度格差による性質を使用し半透膜を使って老廃物・余分な水分を除去していきます。透析患者の血液中の物質は、老廃物が含まれていない透析液に移動します。 2012年の診療報酬改定で正式に健康保険に適用されてから急速に「オンラインHDF(O-HDF)」が増えてきました。このオンラインHDFは、透析液に補充液をそのまま使用します。大量の体液を取り除き、その代わり、ほぼ同じ量の透析液を体内に注入して体液を補充します。

●ダイヤライザー
○構造= 中空糸型と積層型がある。市場のほとんどは中空糸型。
○求められる機能 = 器械的強度が強い。生体適合性が高いこと。
○膜素材 = 合成高分子系とセルロース系の2種類。
 合成高分子系 - α-1など大分子量の除去に優れているPS膜、PES膜、PEPA膜。生体適合性がよいとされるEVAL膜、PAV膜、PMA膜。
 セルロース系 - 大分子量の除去には劣るが小分子量の除去に優れるCTA膜、ATA膜。

●原理
 血液を体内から取り出し「ダイアライザー」で人工腎臓を通して体内にたまった尿毒症の原因物質や老廃物の排泄し、 血液中のNa( ナトリウム)・K(カリウム)・Ca( カルシウム) といった電解質と 酸性・アルカリ性のバランスの維持、体液量の調節を代行し、血液を浄化します。